「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
雌の解禁は雄と同じだが、省令による漁期の終わりは1月20日と定められている。しかし、雌は資源補充の重要な源であるという考えから、漁業者は漁期の終わりを10日早め、1月10日までとしている。ところが、雌は水深250メートルの限られた海域に集団で生息しているため、漁獲効率の良い雌を解禁と同時に全船が狙った操業を行う。このため、最初の航海だけで、その漁期に漁獲する雌の50%、年によっては70%近くを漁獲してしまう。漁期の終わりに近づくほど、雌の漁獲量は少なくなり、漁期の終わりを10日間短縮してもあまり大きな効果は期待できない。
雌が水深250メートルの海域に集団で生息しているという生態的特徴から、その海域の一部をコンクリートブロックで囲い、物理的に底曳き網の操業ができない保護海域を設けた。福井県沖には1990年以降、7カ所の保護海域を設置。1カ所の面積はほぼ2マイル(3.7キロメートル)平方で、高さ3.25メートルの立方体をしたブロックで囲み、囲みの中にもブロックを配置している。親になった雌はほとんど移動しないことから、この保護区では雌の生息数が高まり、その多くは漁獲を免れ、ヤケガニと呼ばれる年老いたカニになる。