「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
福井県近海で取れたズワイガニの雄。エビ目カニ下目クモガニ科に分類されるカニ。県は1989年、県の魚として定め、翌年にシンボルマークを選定した。県を代表する特産品で「冬の味覚の王者」として有名。主に越前町での漁が盛ん。水深200~300メートルほどに生息しており、10回以上の脱皮を繰り返して成長する。坂井市三国町では毎年、皇室に献上している。
漁獲されるズワイガニの雌はセイコガニと呼ばれる。セイコガニの「セ」は背中を、「コ」は子、つまり内子と呼ばれる成熟した卵巣を意味し、背中に子を持つカニを意味する。
「越前蟹」の名称が出てくる古い記録として、京都に住む位の高い公家、三条西実隆の1511年3月20日の日記があり、「伯少将送越前蟹一折」、翌21日には「越前蟹一折遣竜崎許了」と記載されている。