長年の経験と技術でカニの居場所探る
中野良一
脱皮してすぐの越前がに(ズワイガニ)のことで「ズボガニ」ともいう。水ガニとして漁獲される個体のほとんどは甲幅100ミリメートル以下の小さなカニで、漁期が始まる9~10月に、甲幅67ミリメートルの第10齢が脱皮し、初めて90ミリメートルを超えた個体、すなわち新しく漁獲対象資源として加わったばかりの群れ。福井県の水ガニの漁獲量は、すべての雄に占める割合が60%に達する。殻が柔らかく身がみずみずしい。水分を多く含んでいるため、身の取り外しもスムーズ。
有名なズワイと違って県外へはほとんど出荷されず、価格はお手ごろ。身のズボッと抜ける手応え、ジューシーな味が特徴。セイコガニが禁漁になる1月中旬から3月20日までしか水揚げされず、前半はみずみずしさ、後半は身の締まった食べ応えが楽しめる。
通常は肩の部分だけにしてゆでるが、坂井市三国町の一部では丸ごと。ゆるいミソが肩に回り身が黒くゆで揚がる。風味が増し格別の味わい。