競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
カニの甲羅に卵を産み付けるヒル。親は9~10センチメートルの細長い体をしており、体の先端と後端を交互に吸い付けながら甲羅の上を動き回っている。雄の甲羅に4~5ミリメートルほどの薄い茶色のものが付着しているのをよく見かけるが、これはカニビルの卵。魚をエサとし、卵を産み付ける場所として単に甲羅を利用しているだけ。カニに対して害はない。親は船上で水洗いしたときに多くが脱落し、ゆでると落ちるため、一般の人の目にふれることはない。甲羅に付着した卵の殻は離れづらく、幼生がふ化した後もゆでた後も残る。脱皮間もないカニにはついていないことから、脱皮後の期間が長い目印として肉の実入りが良いことを示している。