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【論説】道の駅「越前」 “観光力”強化の旗艦施設に

2014年12月01日

その他

 越前海岸沿いの越前町厨に県内では12カ所目となる道の駅「越前」がオープンした。越前がにのシーズンを迎え、大勢の来場者でにぎわっている。観光立町を目指す町の旗艦施設であり、施設内に入居した町観光連盟事務局は観光戦略を練る“頭脳”として役割は大きい。

道の駅は、道路利用者に休憩、飲食場所を提供し道路、観光情報を発信する施設として1993年から、国道や県道など幹線道路沿いに整備されてきた。全国に約1千カ所もあり、ドライブや旅の途中に気軽に立ち寄れる施設として浸透している。

「越前」の入り口には、奥行き約35メートル、幅26メートル、高さ約14メートルもある屋根付きアプローチを整備。悪天候でも催しを開催でき、天井一面に取り付けられた魚のイルミネーションが美しい。

館内に入ると、大小の魚が泳ぐ円柱形の大きな水槽が出迎える。アンテナショップには魚介類の加工品。軽食コーナーでは地元で捕れた新鮮な魚を味わえる。施設の目の前は日本海。魚、海といった町の魅力を前面に打ち出している。

施設はアクティブハウス越前の一部を改装した。室内プールや、日本海を一望できる露天風呂「漁火」が併設され、道を挟んだ向かいには越前がにミュージアムや海鮮市場。実に多様な楽しみ方ができる魅力的なエリアだ。

先月15、16の両日開かれたかにまつりには約6万5千人が訪れた。例年を約1万5千人も上回り、道の駅効果と関係者はみている。  町では今後、越前がにミュージアムや海鮮市場をリニューアルし、屋根付きアプローチでの朝市開催などを計画している。一層、集客能力は高まるだろう。

町の観光客数は合併した2005年以降、ほぼ110万人台で推移。12、13年は120万人を超えたとはいえ、横ばい状態が続く。

課題はカニと水仙の冬、海水浴とダイビングの夏以外の時期に、いかに観光客を呼び込むか。越前海岸を訪れた観光客を、どのように越前焼(宮崎)劔神社(織田)などへ誘導するかだ。

舞若道が全線開通、来年3月には北陸新幹線金沢開業が控える。来年2月の合併10周年を前に今春やっと結成された連盟には、危機感を持って施策を打ち出していく必要がある。

人口減少社会が叫ばれている。越前地区は特に深刻で、2005年ごろから毎年約100人ずつ減少し、現在約5080人。約1万1千人だった約50年前から半減している。

道の駅オープンを機に観光客は増加するだろう。連盟には町のにぎわいや雇用の創出、ひいては人口増加につながるような将来を見据えた戦略が求められる。


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