漁船と連携し品質を判断
田村幸次
トップページ > ニュース > 2014年3月 > 越前がにで活気も底引き船苦境 三国、経営苦しく廃業も
福井県が誇る冬の味覚の王様、越前がに。6日の漁解禁以降、坂井市三国町内には味覚を求め県内外から観光客らが訪れている。一方で、地元漁師には燃料費の高騰などが重くのしかかり、厳しいやりくりが続いている。市は10月から燃料に対する助成を始め、三国港機船底曳網(そこびきあみ)漁協も甘エビのブランド化による収益力強化を探っている。現状を追った。
同漁協は1949年設立。最も多いときは40~50隻が所属。越前がにをはじめ、甘エビやアカガレイなど多くの海の恵みを県内外に届けてきた。しかし漁業離れや燃料の高騰などから所属船は年々減少。99年には16隻、2001年には13隻に。ことし5月にはさらに2隻が廃業し11隻となった。
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同漁協の99年からのまとめによると、99年に1リットル当たり30円台で推移していた燃料費は、昨年には約3倍まで高騰。一方、水揚げ額は昨年、99年比で約2割減となった。漁船に定められた5年に2回の定期点検では計約2千万円かかる船もあり、その費用も経営を圧迫。エンジンなどの機器の更新もままならないという。同漁協の浜出征勝組合長は「燃料費は各船、年間1500万円ほど掛かる。全船どん詰まりの経営。このままでは次々廃船が出てくる」と不安視する。
状況を重く見た坂井市は同漁協をはじめ、三国港、雄島の3漁協に対し昨年の実績を基に、燃料費の約1割に当たる1リットル当たり10円の助成計809万円(10~3月)を9月補正で計上した。市では、重油高の推移を見ながら来年度以降の助成も検討していくとしている。
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各船の経営の柱はなんと言ってもカニ漁。最盛期の11~1月の3か月で、年間総水揚げ額の大半を占める。カニに次ぐ水揚げ額を占める甘エビの漁獲が少ない春先や夏場は全体水揚げも少なく、カニ漁によるプール金でやりくりしている。
同漁協では、三国港に水揚げされる甘エビの知名度を上げ、販路開拓による収益増を試みている。鮮度を保つのに優れた窒素氷を使用し、ことし5月を初回に9、10月と計約2万匹を試験的に東京のすし店に送り、好評を得た。浜出組合長は「魚価を上げるのが最重要課題。カニも徹底的な品質管理で、ブランド価値を高めていきたい。船をやめたい漁師は1人もいない」と話している。