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刀根瑛昌
トップページ > ニュース > 2014年8月 > 冬限定セイコガニ載せた創作そば 和食ふくい色・九頭龍蕎麦
老舗料亭や甘味処(どころ)、おしゃれな喫茶店が軒を連ね、石畳の通りが風情を醸す東京・神楽坂。近くには小浜藩邸跡がある福井県ゆかりの地に「九頭龍蕎麦(そば)」はある。おろしそばをはじめとする福井の郷土料理と地酒が味わえるとあって、多くの福井県出身者に愛されている。
「懐かしくてほっとする味で、明日への英気を養ってもらいたいですね。派手さはないけれど、もう一度食べたくなる味を心掛けています」と原崎衛さん(46)。
福井県勝山市出身。県内の調理師専門学校を卒業して東京のドイツ料理のレストランで腕を磨き、40歳で勝負に出た。大野のそば店での修業を経て、2010年に開業。13年には近くに2号店をオープンした。
「日本人って、40歳を過ぎると体が野菜や魚を求めるというか、和食に回帰するんですよね。季節感のある食材が和食の根幹。それは幼いころから慣れ親しんだ古里の料理だと気付いたんです」
奥越産そば粉を使って自ら打った自慢のおろしそば、奥越産のコメを炊いたご飯、上庄さといもの煮っ転がし、昇竜まいたけの天ぷら…。とことん古里の味にこだわる。竹田の油揚げやソースカツ丼も人気だ。越前がに、若狭がれい、ヒラメ、スズキ、マトダイ、サザエ…。魚介類の多くも福井から取り寄せる。セイコガニを載せた創作そばや塩うに、へしこなどの珍味もある。
「こうした料理は福井の地酒と間違いなくマッチします。(ソバや野菜などの)食材を育んだのと同じ福井の水を使った酒ですから。店内に常に40種類は取りそろえています」
料理を盛る皿や鉢、酒器には意識して越前焼や越前漆器を使っている。
「福井のおかげで商売をさせてもらっているので、少しでも産地の役に立てれば、と。越前和紙を壁一面に貼った個室や、和紙を貼ってコーティングしたテーブル、漆塗りのパネルを組み合わせた壁など、古里福井をイメージした空間演出にもこだわっています。福井県生まれの従業員がいないので、(イメージを共有できるように)研修で福井を訪れ、海や山、川、田園風景を目に焼き付けてもらっています」