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【論説】神楽坂で福井PR 観光戦略に歴史を生かせ

2013年12月21日

観光

 首都圏の観光客をいかにして福井に呼び込むか。北陸新幹線の金沢開業を来年度末に控える福井県にとって、大きな課題だ。

地域の魅力を発信する取り組みには、地元の食材や工芸品を出張販売する物産展がある。県外客の誘致に向け、県や各自治体は東京都内を中心に地道に物産展を開いており、この夏は丸の内周辺で恐竜をテーマにした大々的なイベントを展開するなど首都圏での観光戦略に力を入れている。食や恐竜など福井の観光資源をPRするこうしたイベントはもちろん大切で有効だが、少し目先を変えて、「歴史」をキーワードに福井の魅力を発信する方法を考えてみてはどうだろうか。

というのも、東京には意外と歴史的に福井とつながりのある地が多い。その一つが神楽坂。石畳や昔ながらの料亭が軒を連ね、風情のあるこの地は街歩きのメッカとして知られる。週末ともなれば全国から多くの人が散策に訪れる都内屈指の観光スポットだ。江戸時代に小浜藩主の酒井忠勝が屋敷を構えたのが神楽坂で、通りは江戸城に続く登城道として整備された。坂を上った矢来公園には「小浜藩邸跡」と記された石碑が建立され、本県とのゆかりは深い。

この神楽坂で先ごろ、福井の食文化や旬の味覚を発信するイベント「ドーンと福井in神楽坂」が開かれた。越前がにや若狭ぐじなど海産物を販売するテントが並び、時代行列が通りを練り歩き、大勢の人でにぎわった。訪れた観光客は福井の食を大いに堪能し、福井と神楽坂の歴史的なつながりを感じたことだろう。地元の商店街も巻き込んだこのイベントは今年で6回目を数え、神楽坂の秋の風物詩として定着しつつある。

都内にはほかにも福井にゆかりのある地が多く残っている。橋本左内の墓がある回向院(荒川区)、福井藩中屋敷跡で「越前」の名を残す越前堀児童公園(中央区)、小浜出身の幕末の志士・梅田雲浜の墓がある海禅寺(台東区)、岡倉天心が創設した日本美術院跡に整備された「岡倉天心記念公園」(同)などがそうだ。神楽坂のイベントを一つの手本に、こうした地域と積極的に交流を深め、歴史的な視点から福井の知名度アップを図る方策を考えるのも一つの手だと思う。

県と福井市が策定した「県都デザイン」でも、福井城址(じょうし)公園を中核に、幕末などの歴史を生かしたまちづくりの方向性を打ち出している。北陸新幹線の金沢開業により東京―金沢間は2時間半で結ばれ、首都圏から北陸がぐっと近くなる。金沢まで訪れた観光客にいかに福井に足を運んでもらうか。地元での受け皿づくりと並行して、首都圏でのPR活動もこれまで以上に力を入れる必要がある。

全国に誇れる福井の食、恐竜など集客力のある観光資源とともに、「歴史」というキーワードを加えた新たな観光戦略に期待したい。


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