福井県越前町厨の越前がにミュージアムが、7月にリニューアルオープンした。11月下旬には、新装4カ月余りで例年の年間来場者数の2万人を達成。全国から注目される「越前がに」のPRはもちろん、漁業の担い手育成への期待がかかる。
2000年に開館した同館は、管理棟、マーケット棟、ミュージアム棟の3棟からなる。初めての大規模改装は、3階建てのミュージアム棟1階部分で、展示や体験アトラクション19カ所のうち六つを刷新、一つを増設した。総事業費約3億9200万円。
1番人気を集めるのは、カニ漁を体験できるシミュレーター「かに漁チャレンジ」。操舵(そうだ)室から見える海の様子を、室内に360度投影。中心にあるエンジンアクセルやかじを動かし、漁港出発からカニの水揚げまでを疑似体験できる。操作の難しさが、子どもから大人までをとりこにしている。
自分の描いた絵を機械で読み込み210インチのスクリーン上で泳がせる「絵画水族館」や床に投影させたカニの映像を踏んで遊ぶ「かにあつめ」など、これまでになかった体験型アトラクションを導入したことで、来館者の滞在時間を延ばす効果をもたらした。
カニの生態やカニ漁の映像を、幅10メートル、高さ3メートルの湾曲スクリーンで迫力満点に流す「ビックラブシアター」や研究員が常駐して卵から稚ガニまで成育する研究室「クラブラボ」などもあり、学術面の充実も図った。
来館者数はオープンからわずか1カ月で1万人を突破。しかし、集客にはまだまだ伸びしろを残す。同館は、昨年10月に来場者150万人を達成した道の駅「越前」に隣接。新鮮な魚介類や土産物を取り扱うマーケット棟「越前うおいち」も15年5月から年間通じて開店しており、観光客の往来の多さは町内随一。好調な客足を取り込むために、施設間の連携で相乗効果を図ることが求められる。