「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 2019年5月 > 越前がに「高値の花」 競り値 ズワイ4割上昇 セイコは2割
福井県が誇る冬の味覚、越前がにの取引価格が高騰している。2020年11月末時点の競り値単価は、ズワイガニで昨年同期に比べ約4割上昇。漁獲量が昨年同期より減少している上、国の観光・外食産業支援策「Go To キャンペーン」で需要が高まり、関係者は「今までにないほど高い」と口をそろえる。宿泊施設などは仕入れに苦慮し、シーズン途中で値上げに踏み切る異例の動きも出ている。
越前がには、ズワイの最上級ランク「極(きわみ)」が登場した2015年度以降ブランド力が高まり、価格の上昇が続いている。競り値単価は14年度に比べ17、18年度はともに1割超、19年度は約2割それぞれ上がり、過去最高となった。
今シーズンは、漁解禁直後の11月6~9日の漁獲量は昨年同期とほぼ同じだったものの、単価はズワイが昨年同期と比べ31%、セイコガニは15%高くなった。同30日時点では、漁獲量がズワイ81%、セイコ102%に対し、単価はさらに上がり、ズワイが46%、セイコは18%高くなっている。例年、11月中旬から12月上旬は「本来なら価格が落ち着く時期」(県担当者)だが高止まりが続いている。
福井県内の市場関係者は「石川産や山陰産のカニも例年の倍ぐらい高くなっている感覚。県をまたいで奪い合いになっている」と指摘する。食品スーパーなどを展開するヤスサキ(本社福井市)の担当者も「今年は価格が高く、スーパーで売りづらい。売り場を縮小している」と話す。
今後は歳暮向けや年末年始で需要が増え、さらに価格が上がるとみられる。坂井市で宿泊施設などを運営する男性は「手の届かない特別な食べ物になってしまった。競りにかかるカニは少なく、高く、手に入れるだけで一苦労」。漁期の短縮や養殖など将来を見据え資源を増やす対策が必要と訴えた。