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刀根瑛昌
トップページ > ニュース > 2014年10月 > 冬待つ“亀” 波間 漆黒に浮かぶ
波が固さを帯び始めた。低く重くのしかかる雲、暗く沈んだ海。越前海岸の冬装いの始まりだ。夕日を浴びて漆黒に浮かぶのは、その形から亀島(がめじま)とよばれる周囲200メートルの小さな島だ。地元には、千手観音を乗せて舞い降りた亀が島になったと伝わる。
奇勝奇岩で知られる同海岸には、異名を持つ岩々が点在する。鉾(ほこ)島、弁慶の洗濯岩、軍艦島、夫婦岩などなど、それぞれのいわれや伝承と照らし合わせての散策は、越前海岸の魅力だ。
寒さが募るにつれ迫力を増す日本海。日本三大群生地といわれる越前水仙、味覚の王者越前がにはもうすぐだ。この“亀”も冬眠せず、越前海岸が輝く季節を待ち構えている。 (写真・柿木孝介、文・菊野昭彦)
【亀島】福井市松蔭町の海岸近くの小島。弁天様がまつられているので弁天島とも。6日に解禁される越前がにを扱う鮮魚店や宿泊施設などが並ぶ国道305号線から見ることができる