漁船と連携し品質を判断
田村幸次
トップページ > ニュース > 1996年10月 > 越前がにミュージアム、来夏再開 越前町 施設拡充 “漁”も体験 疑似乗船、映像で臨場感
福井県越前町厨の「越前がにミュージアム」の、越前がにの生態などを紹介する「ミュージアム棟」は、館内の改装工事のため9月初旬から一時休館している。越前がに漁のシミュレーションルームの新設やトンネル水槽などの展示を充実させるほか、資源保全を図るため越前がに研究室も整備し、来年の夏休み前の再オープンを目指す。
同ミュージアムは、映像、模型などを使って本県特産の越前がにを紹介する滞在型観光施設として2000年に開館。15年間の総来館者数は約58万4千人に上り、越前がにの周知と観光のにぎわい創出に貢献してきた。
後継者不足に悩む漁業の担い手育成や、資源保全のために越前がにを育てる研究拠点の役割も持たせようと改装を決めた。総工費約3億5400万円。
同ミュージアムはマーケット棟、管理棟、ミュージアム棟の3棟からなる。改装するのは鉄筋コンクリート3階建てのミュージアム棟1階部分。
シミュレーションルームでは漁船を模した乗り物に乗って漁を疑似体験できる。スクリーンに今冬撮影を予定している漁の様子を流し、本当に沖合にいるかのような感覚を味わうことができる。
シアタールームには縦3メートル、横10メートルの大型スクリーンを導入。海の生物や漁港で行われる競りなどの映像を流して、越前海岸の魅力を迫力満点に伝える。
研究室は約45平方メートルで、年間100匹程度の稚ガニの育成を目指す。育成した稚ガニは展示スペースに移し一般公開しながら、成長の経過を観察していく。
そのほか、ドーム型水槽を新設、トンネル水槽を延長する。自分の描いた魚をスクリーンで泳がせるバーチャル水族館、床に投影した海の生き物を踏むと動きだす映像設備「タップトーク」なども導入、子どもたちが楽しめる仕掛けもふんだんに盛り込んだ。
越前がに漁は11月6日解禁する。漁期間中の休館に町の担当者は「越前がにを目的に訪れる方には申し訳ないが、来場者数が多くなる来年の夏休みまでに完成させたい」と話している。