福井ゆかりのフードジャーナリストで福井新聞連載「食は福井にあり」を執筆している向笠千恵子さんが「続・旬の菜事記 おいしい俳句」を著した。季節の食材とそれらを織り込んだ俳句の魅力を、みずみずしい文体でつづっている。
向笠さんは、全国各地の本物の味や安心な食べ物、伝統食品について考察を重ねている。長年俳句にも親しんでおり、新著は「食べる俳句」に続く一冊。
新年と四季の5章構成。春の食材や食べ物としてウドやアスパラガス、草餅、夏はシソやちまき、サイダーなどを取り上げ、それらにちなんだ句を披露。冬の食材「甘鯛(あまだい)・ぐじ」では、若狭湾でとれる「若狭ぐじ」を紹介。地元に伝わる優れた加工技術も記した。「蟹(かに)」は夏の季語だが「ずわい蟹」は冬の季語だとして、越前がにの項には「日本海の荒波にほふずわい蟹」との句を添えている。
餅の項では、鯖江市に伝わる厄払い神事「おこない」の餅まきを「なんとも迫力があった」と述懐。勝山市の伝統野菜「勝山水菜」、福井市木田地区の同「木田ちそ」、焼き鳥チェーン店「秋吉」も登場する。
本阿弥書店刊。四六判、264ページ。1900円(税別)。問い合わせは同書店=電話03(3294)7068。