競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 漁、競り・市場 > 越前がに いざ出漁 広島出身19歳玉原さん 単身福井県越前町に、底引き網で修業 「たくさん水揚げを」
11月6日に解禁される越前がに漁に、広島市出身で福井県越前町に来た19歳の新米漁師が挑む。カニ漁師になるために単身来県し、今年4月から底引き網漁船に乗って経験を積んできた。「船長や乗組員に食らいつき、たくさん水揚げできるよう頑張りたい」と意気込んでいる。
漁師は玉原一護さん=同町厨(くりや)。中学卒業まで広島市で育ち、島根県浜田市の水産高校に進学。水産法規や海技資格の取得に向けた勉強に励んだ。卒業後は地元に戻り、カーフェリーの乗組員として1年間勤務した。
漁師を志すきっかけは、ベニズワイガニ漁師をしている高校時代の友人の存在。友人のいきいきと働く姿を見たり、さまざまな体験談を聞いたりするうちに「自分も挑戦してみたい」と思うようになった。
「全国的にも有名な越前がにを取ってみたい」と同町にやってきた玉原さん。町漁協所属の「良和丸」に乗り込み、これまでにホタルイカや甘エビを水揚げした。仕事は魚の仕分けや網の巻き上げ作業など多岐にわたり「最初は覚えることで精いっぱいだったが少しずつ慣れてきた」と、本番を前に手応えを感じている。
10月には県内水産業の担い手を育てる「ふくい水産カレッジ」に入校。漁師に必要な知識や技術の習得にも前向きに取り組む。
念願の越前がに漁に玉原さんは「先輩から漁の過酷さは聞いているが、自分はできることをやるだけ」と、来年3月20日まで続く長い闘いの解禁日に向けて気を引き締めている。良和丸の北瀬良寛船長も「大変なことも多いが頑張ってほしい」と期待を寄せる。
町漁協によると、同漁協所属の底引き網漁船に乗る県外出身者は玉原さんを含めて3人と、まだまだ少ない。小林利幸組合長は「玉原さんのような漁師がカニ漁で活躍してくれるのは喜ばしいこと。経験を積んで一人前に成長していってほしい」とエールを送った。