トップページニュース2017年5月 > 人工飼育の幼生、相次ぎ脱皮 親ガニ育成 越前がにミュージアム 天然の生態 推定へ一歩

人工飼育の幼生、相次ぎ脱皮 親ガニ育成 越前がにミュージアム 天然の生態 推定へ一歩

2017年05月02日

越前がにミュージアム

 福井県越前町厨の越前がにミュージアムが、ふ化した越前がにの幼生を人工飼育した結果、脚などがカニ本来の姿を見せる稚ガニへと成長。1日から午後の1時間限定で公開を始めた。今後、国内で数少ない親ガニへの育成に挑む。

 ズワイガニの生態を研究するため1月から、同館研究室のビーカーで幼生約440匹を飼育。毎日新しい海水と交換し、えさのプランクトンも欠かさず与える地道な作業を進めたところ、4月7日以降に順次20匹が稚ガニへと脱皮した。


 甲羅幅3ミリの初々しい飴(あめ)色。うち15匹は5月1日現在も水槽の中ですくすくと育っている。2月、3月にふ化した幼生数百匹の飼育も進めていて、稚ガニはさらに増える見通し。

 順調に成長すれば夏―秋に次の脱皮を行い、甲羅幅4~5ミリに育つという。最終的に10年ほどかけてオスは計13回、メスは計11回の脱皮で成熟年齢に達する。

 同ミュージアムによると、ズワイガニの人工飼育では国や福井など各県の研究機関が稚ガニまでは成功しているが、その先の育成はあまり例がない。鳥取県水産試験場が4年2カ月飼育し産卵につなげたのが最長で、数少ない成果とみられる。

 日本海区水産研究所小浜庁舎の山本岳男主任研究員は「ズワイガニがどのような温度やえさを好むのか、(飼育過程で)天然での生態を推定できる意義ある取り組み」と指摘。同ミュージアムの大間憲之主任研究員は「困難な作業だが、親ガニまで育つよう頑張りたい」と意気込んでいる。

 稚ガニの成長過程は連日公開する予定。午後2時から同3時まで。今月2日を除く火曜は休館。


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