競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 2009年11月 > 卵黄の色保つ越前がにの殻 県畜産試験場、鶏エサで効果
福井県畜産試験場(坂井市)はこのほど、ニワトリのえさに少量の越前がにの殻を混ぜることで、飼料用米の課題だった卵黄の白色化を防ぐことに成功した。県はコメの需要促進を図るため、本年度から飼料用米の導入を進めており、同試験場は「飼料用トウモロコシの価格が上昇する中、カニ殻を混ぜた飼料用米の普及につながれば」と話している。カニ殻を与えると産卵率がアップする効果もみられた。
ニワトリのえさは、主に輸入トウモロコシが使われているが、キサントフィルという色素が卵黄の色に作用している。そのためコメをえさにすると、味や栄養分は変わらないものの、卵黄の色が白っぽくなり商品化しにくいといった課題があった。
カニ殻にはアスタキサンチンという色素があるため、同試験場はトウモロコシの25%と50%を玄米に代替したえさに、それぞれ全体の5%にあたるカニ殻を混ぜニワトリに与える実験を行った。卵黄の色の濃さを判定するカラーファンの数値は、えさがトウモロコシの場合は8・3、25%代替は8・0、50%は8・1で、見た目ではほぼ同じ色になった。カニ殻を入れない場合の数値は25%代替が7・6、50%代替が7・4だった。
またカニ殻を与えなかったニワトリの産卵率は85・5%~85・9%だったのに対し、カニ殻を与えたニワトリは87・5%~90・2%と高くなる効果もみられた。これについて同試験場は「カニ殻は県内の民宿で回収したものを使ったため、カニ身が付着しているものが多かった。カニ身がえさのタンパク質濃度、栄養価を高めたことが原因ではないか」と分析している。
同試験場は今後、カニ殻の効果を県内の畜産農家にPRするとともに、新たに本県産ソバを使ったえさの実用化を目指した実験を進めていく。