「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 2009年6月 > カニ殻肥料の野菜に舌鼓、坂井 地域循環へ試食会
越前がにの殻を肥料にして栽培した農作物の収穫が始まり、福井県坂井市三国町の休暇村越前三国で11日、試食会が行われた。トマトやタマネギなど新鮮な野菜が並び、参加者らは「おいしい」と称賛。旅館から廃棄されたカニ殻を肥料として野菜が作られ、その野菜が旅館で使われるという有機資源の循環を目指す取り組みがスタートした。
カニシーズン中に、ごみとして大量に廃棄されるカニの殻や甲羅を有効活用しようと昨年12月、休暇村越前三国や同町内の旅館、農家で「カニ殻生産組合」(仮称)を発足。同休暇村から出された約7千リットル分のカニ殻を農家が回収、乾燥、粉砕して今年3月から農作物の肥料に使い始めた。
カニ殻の肥料を使うことによる宿泊施設のメリットは▽廃棄物の削減▽環境に優しい取り組みのアピール―など。農家にとっても▽病害虫に強くなることでの農薬の削減▽土壌の改良▽同じ作物との差別化―などが期待されるという。
試食会には同組合のメンバーや旅館関係者ら約10人が参加。カニ殻の肥料を使って栽培されたトマトやスナップエンドウ、タマネギなどの野菜が振る舞われた。
数年前からカニ殻の肥料を使って野菜を作っている同組合の出嶋昇組合長は「カニ殻を使って畑が変わった。害虫に強く、おいしい野菜ができる」と効果を強調。「カニ殻を使ったリサイクルの仕組みを、ほかの農家にも広げていきたい」と意気込む。
農家では現在、カニ殻の肥料でトウモロコシやナス、サトイモなどを栽培。今週末から食事のメニューに、トマトなどを使っていく予定の同休暇村は「これからも(カニ殻肥料で栽培された)旬の野菜を提供していきたい」と話している。
またカニ殻を飼料に使い、養鶏実験をしている県畜産試験場も「飼料としてのカニ殻の活用を、養鶏農家と話し合っていきたい」としている。