「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 1996年12月 > 大相撲優勝力士ニンマリ 越前ガニの優勝カップが初登場
大相撲の千秋楽、優勝力士に贈る福井県知事賞のカップ。先月の九州場所では、越前ガニをかたどったカップが初登場、栗田知事から横綱、曙に手渡された。ところで、この知事賞カップは、何種類あるのか知ってる? 副賞の特産品「一年分」って一体何キロ、その値段は?
知事賞カップの授与は、県の特産品PR事業の一環で一九八六年度からスタート。担当は県農産園芸課。当時は年三場所で、副賞も梅の一種類だけ。梅カップとして初登場の時には授賞式も全国放映された。九二年度からは▽梅(春、夏場所)▽スイカ(名古屋場所)▽コシヒカリ(秋場所)▽里芋(九州場所)▽ラッキョウ(初場所)―の六場所五種類。九七年度に水仙を追加し六種類に。先の九州場所から里芋が越前ガニに代わった。
知事賞を贈呈しているのは、場所の開催地(東京、大阪、名古屋、福岡)以外では全国で福井と宮崎だけ。しかも福井の方が早かった。
カップは一番大きい河和田漆器製カップ(スイカとコシヒカリ共通)が高さ九十三センチ、台座幅五十九センチ、重さ二十五キロ。梅、ラッキョウを入れ替える透明カップ。ほかに水仙用と越前ガニ用で四種類。カップ製作費は一個約二百万円。ちなみに梅カップは三代目。最初は本物の三方梅をぎっしり詰めていたが、水分が漏れて台座のメッキがはがれたりしたため、日本相撲協会から”物言い”が付き、中身は合成樹脂製の梅になった。
副賞の特産品、水仙は三万本、梅は十万個。スイカなどは「一年分」という目録で贈る。県農産園芸課は「相撲部屋で一日に食べる大玉スイカ(八キロ)は約十個と推定。スイカの収穫時期は六月上旬から八月中旬までの七十五日間として算出した」と話し、実際の量は六トン。ラッキョウは一日一キロと換算して一年で約四百キロ、コシヒカリは「おにぎり四万個分」の五十俵、カニは「ちゃんこなべ千人分」百七十匹を贈った。副賞のお値段は、品目に関係なく約八十万円。
年六場所で、五百万円近くが使われるわけだが、PR効果のほどは? 同課の小島佳彰主査は「特産品PRという点では数字には表れにくいが、全国中継されることで、生産者の意欲拡大につながっている」とのこと。「当面はこの六品目のまま」だが、そのうち「おろしそばカップ」「ミディトマトカップ」なんてのも登場する?