「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > なるべく出品しないで」 悪用懸念も
ズワイガニに産地を示すタグを付けて差別化を図る取り組みが日本海側各地で進む中、福井県産の越前がにを証明する黄色タグの使用済みとみられる商品が、メルカリなどフリマサイトに多数出品されている。産地偽装に悪用される懸念もあり、越前がにのブランド化を推進する県水産課は「売買自体の規制はできないだろうが、なるべく出品しないでほしい」と呼びかけている。
福井新聞が調べたところ、少なくともメルカリとヤフーフリマで越前がにのタグとみられる出品を確認した。1個100~数百円で販売されており、既に売買が成立したものもあった。カニに付ける前の未使用タグの出品は確認できなかった。
出品者の多くは、越前松島水族館(坂井市)の入館料割引に使えるとのコメントを添えている。同水族館が10年以上前から実施しているタグ持参者の入館料を500円割り引くキャンペーンを指しているとみられる。同水族館は「越前がにを食べに来てくれた人に、水族館にも足を運んでもらおうと始めた企画。本来の目的から外れた使われ方をされているなら残念だ」と話す。
各産地のタグはさまざまな種類があるが、いずれもカニに一度取り付けると緩められないようになっている。県漁連は「結束を外して別のカニに付け替えることはできない」と強調するが、例えばカニ料理にタグを添えれば他産地のカニを越前がにと偽装できる可能性がある。
県水産課は「使用済みタグが悪用された事例は聞いていないが、必要があれば対策を考えていきたい」としている。