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競り落とすには度胸が必要

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中橋睦男

目利き

 明治時代に創業したかねいち水産の3代目。誕生日が越前ガニの解禁日11月6日という筋金入りの“カニの申し子”。同社は創業当時から代々越前漁協の指定仲買人を務めている。

良いカニを見極めるコツは、カニをひっくり返して見たとき、お腹と足の色が「あめ色」であること。あめ色のカニは身入りが良い。「難しい判断になりますが、色は濃くもなく薄くもなくがポイント」。長年カニを見続けてたどり着く境地だ。

さらに、触ればだいたい分かるという。甲羅の真ん中を親指で力を入れて押してみる。ここが硬ければ硬いほど良いカニだそう。柔らかいカニはゆでたときに中の身が“すいて”しまうのだ。はさみの太さも重要な要素。たとえカニ自体が小さくても、太いほうが身がしっかりつまっているという。

高校卒業後すぐにこの仕事を始めました。10年ぐらいは勉強期間だったと思います。

かねいち水産は漁期中、越前町で揚がったカニの3割、多いときで半分くらいを仕入れる“大問屋”。地元の旅館や民宿、料理店だけでなく全国各地に顧客をもつ。

たくさんの需要がある週末に顧客にきちんと提供できるよう、仕入れたカニを30トンの水槽に常時千~2千匹は蓄える。週末でほとんどなくなってしまうので、週末に向けて平日にカニを仕入れておかなければならない。

「一度に2千~3千匹を買うこともあるので、仲買人には『度胸』が必要」

天気予報をこまめにチェックすることも重要な仕事。数日後に時化がきて不漁になりそうなときはあらかじめ多く買っておかなければならないためだ。また、旅館などの客先の場合、宿泊人数を把握しておかなければなない。いかに過不足なく良いカニを仕入れることができるか、という点でも仲買人の力量が問われる。(2010年11月)

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