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池野政義
トップページ > ニュース > 漁、競り・市場 > 安定供給へ「仕方ない」 越前がに漁獲制限 福井県内関係者 観光客離れ懸念も
越前がにの豊漁による初の漁獲制限を受け16日、漁業者やホテル旅館関係者からは「シーズンを通して越前がにを提供するためには仕方ない」と理解を示す声が上がった。一方で「制限によって今後は値上がりする」とみる関係者もおり、観光客離れを懸念する声もあった。
今季は6日の漁解禁以降、好天が続き出漁機会が増えたことなどで、水揚げ量が例年より増加。15日までに、国に割り当てられた漁獲上限の約5割に達し、福井県底曳(そこびき)網漁業協会は、漁船一隻当たりの水揚げ量を制限することを決めた。
越前町漁協は、雄のズワイガニ、雌のセイコガニともサイズの小さいものは船上で海に放すなどして対応する。担当者は「漁期いっぱい安定して操業するために必要な判断」と理解を示した。
坂井市三国町の三国港機船底曳網漁協の平野一美組合長は「福井のカニが食べられなければ、観光が全滅してしまう。細く長く漁をするしかない。セイコは網を一回入れれば千匹や2千匹取れてしまう。(単価が高い)ズワイを狙って漁をするだろう」と話した。両漁協は17日に出漁を予定している。
「たくさん取れて、安くお客さんに提供できて喜んでもらっているのに」と肩を落とすのは坂井市三国町の鮮魚店の店主。今季は昨季の半値近くのため、2倍の量を競りで仕入れた。
漁獲が制限されると「値段は上がる」と予測。仕入れたカニは、いけすでストックしているが、1カ月以上たつと弱ってくるため、長期保存は難しいという。
越前町内で旅館を営む40代男性も「今後の競りで値段が高くなるのは確実」と話す。全国旅行支援で追い風が吹く中、「旅館で提供するカニ料理も今後値上げせざるを得ず、客が来なくなってしまう」と危機感をあらわにした。
越前がに付きの宿泊プランを用意しているあわら温泉旅館「グランディア芳泉」(あわら市)の山口高澄常務は、業界として漁獲制限を決めたことに対して「うわさが先行する前に、数字を示して、対策してくれたことは安心材料。先がイメージしやすくなるので、供給についてはそれほど心配していない」と評価した。12月下旬までは予約でほぼ満室となっており「出足が好調なだけに今後の供給と価格の安定を切に願っている」と話した。