「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
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ズワイガニなら黄色いタグ付きの越前がにに限る、と思いきや先日、家人が1パイ380円のセイコを買ってきた。釜揚げしたてで塩加減もまずまず、うまかった▼ラベルには「鳥取」とあり、松葉がにと知った。鳥取県はカニの漁獲量で本県を上回る。総務省の家計調査によれば、1世帯当たりのカニの購入量、金額ともに鳥取市がトップ▼福井市の購入量、金額は4位と3位。察するところ、鳥取のカニは値段が安く、食卓に上るケースが多いようだ。高くても売れる越前がにはブランド力に勝るといえようが、何となく複雑だ▼そういえば今年初めに富山・氷見産ブリに本県産が使われ、偽装事件として摘発されたことを思い出す。そのブランド品が最近、「ひみ寒ぶり」の名称で商標登録されたそうだ▼本県のブリもれっきとした寒ブリであり、偽装とはいえ本場でも通用する味だったはずだ。ならばここは「若狭ぶり」「越前ぶり」といった名称を付すのも一考だろう▼ところで、越前がにとともに揚がる魚に「ミズベコ」がある。深海魚然とし、魚体を覆うゼラチンが苦手の人も多い。私事ながら、行商の「ぼてさん」がいたころからの好物だ▼数匹で200円内とお買い得。煮たときの出汁(だし)がいい。「たのしみは門売りありく魚(うを)買ひて烹(に)る鐺(なべ)の香を鼻に嗅(か)ぐ時」と詠んだ橘曙覧の境地が分かる。美味(おい)しい冬だ。