昨年11月6日に漁解禁となった越前がにの漁獲金額(概算)が12月末現在で、前年同期比23%増の約14億5千万円に上っている。3月まで続く漁期全体で、過去最高を記録した2013~14年シーズンの約18億6600万円に迫る勢いだ。福井県水産課は「今季から売り出し始めたズワイガニの最高級ブランド『極(きわみ)』の効果が表れている」とみている。
県水産課によると、12月末までの概算漁獲量は、雄のズワイガニが前年同期比13%増の約137トン、雌のセイコガニが同41%増の約171トン。合わせて同27%増の約308トンとなっている。
ズワイの漁獲金額は、前年同期比26%増の約10億7千万円で、1キロ当たり単価も同11%増と好調。漁獲量が増えると、単価は需要と供給の関係から下がるのが一般的だが、「極」が全体の価格を押し上げた格好だ。
極は重さ1・3キロ以上、甲羅幅14・5センチ以上、爪幅3センチ以上の基準を超えた最高級のズワイだけに与えられる称号で、漁初日の初競りで1匹10万4千円の最高値を付けた。12月24日までに水揚げされたのは281匹で、匹数換算でズワイ全体の0・2%しかなく、その名の通り極めて希少性が高くなっている。
一方、12月末で漁を終えたセイコの漁獲金額は、前年同期比17%増の約3億7千万円。漁獲量が増えた分、1キロ当たり単価は同17%減だった。一般家庭にはズワイは“高根の花”となった半面、セイコは求めやすかった。
漁獲量が増えたことについて県水産課は「今季は漁解禁以降、12月末まで冬型の日がほとんどなく、海況が安定していた。波が高くて海に出られない日が多かった昨季と比べ、順調だった」と分析。海底の資源量も当初推定した通り昨季を上回っているとみている。
今季全体の漁獲金額の見通しについては「カニの値段は、需要の多い12月が最も高い傾向にある。今後は荒天の日が多くなると予想され、伸びは落ち着くだろう」としている。
ズワイの漁期は3月20日まで。2月9日からは水ガニ漁も始まる。