越前がにならおまかせ
納谷一也
トップページ > ニュース > 2016年1月 > 19歳のカニ漁師 祖父と父の背中追う
約16時間に及ぶ漁を終え、福井県越前
町漁協所属の底引き網漁船「真彰丸」が越前漁港に戻ってきた。船上には越前がにが山積み。アカガレイ、バイガイ、エビなどが入ったトロ箱も満載だ。漁師2年目の島田克政さん(19)=越前町大樟=が、越前がにに手際よくタグを付け、トロ箱をトラックの荷台に運
ぶ。汗をぬぐいながら「大漁? いやいや、きょうは中の下ぐらいですよ」と笑う。
祖父の彰さん(68)から続く漁師一家で、克政さんは父賢一さん(41)に続く3代目。物心ついたころから、将来は漁師になることを思い描いてはいたが、「決められた道を選ぶのが嫌」と思った時期も。しかし、船頭としてかじを取る祖父、父の姿を間近に見るにつれ、高校3年時に「長男の自分がやらなければ」と心を決めた。
漁師は、天候や海の状態に左右され時間が不規則。夏のイカ漁の時期は昼夜逆転の生活で1、2カ月間は県内外の漁場を回る。海の状態が変わりやすい冬は、急に出漁が決まることも。「友達と遊びに行く約束がなかなか守れない」のが悩みの種だ。そんな3代目を彰さんは「物覚えがいいし、よく頑張っとる」。賢一さんも「自分の若いころより真面目で責任感も出てきた」と成長に目を細める。
「今は漁師としての基本を覚える時期。だけどいつか、祖父と父に一人前の漁師として認められたい」と克政さん。夢に向かって精進を続けている。