競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 2016年1月 > 越前がに「極」 サイズで圧倒 絶対王者
どうだあ! この、たくましいはさみ、でっかい甲羅。自分で自分にほれそうだぜ。足羽山のボスザルだか何だか知らんが、このはさみで尻尾をチョキンとすれば、ひとたまりもないぞ。きっと。
おっと失礼、あいさつが遅れてしまったな。われこそが福井が誇る冬の味覚「越前がに」。その中でもズワイガニの最上級ブランド「極(きわみ)」さ。甲羅幅は14・5センチ以上。爪幅は3センチ以上。ゆでた重さはなんと1・3キロ以上のズワイにしかもらえない称号だぜ。なんだかもう、ブランド名を見てるだけでありがたい感じがしてくるだろ?
福井県が、越前がにの魅力を日本中のみんなに知ってもらおうと考えたんだ。脚に付いた輝く「極」のタグ。これこそが“王者”の証しさ。
オレたちズワイガニの雄は、10~13回の脱皮をしながら大きくなる。オレもこの大きさまで10年ほどかかったな。
この名前をもらった昨年は、取材に引っ張りだこだったぜ。カニだけど。越前町の初競りで、仲間に付いた最高値は10万4千円! 海底でガッツポーズしちまった。このはさみでな。本当は水深200~350メートルの真っ暗な海が好きなんだが、フラッシュのまぶしさにも慣れたな。
ゆでたら赤さはサルに負けないし、顔も渋くてかっこいいだろ? すし店のカウンターにいると、「わっ、すごいっ」って目を丸くするお客もいる。オレの先祖は、昔話でサルに柿をぶつけられて死んでしまったけど、オレだったらそんなもの、この甲羅ではね返してやる。