競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 2006年11月 > 県版ノーベル賞に今氏(若狭湾エネ研研究員) 越前がに稚ガニ人工飼育成功
福井県は二日、県版ミニ・ノーベル賞と位置付ける「県科学学術大賞」の第四回受賞者に、福井大大学院工学研究科教授の杉本英彦氏(65)と若狭湾エネルギー研究センター協力研究員の今攸(こんとおし)氏(69)が決まったと発表した。杉本氏は、世界に先駆けて実用性の高い超電導モーターの開発に成功した。今氏は、ズワイガニの成育に関する研究を続け、稚ガニの人工飼育に世界で初めて成功したことなどが高く評価された。
大賞に二人が選ばれたのは初めて。表彰式は七日午後二時から、福井市の県国際交流会館で行われる。
杉本氏は愛知県生まれ。一九七三年に名古屋工大大学院工学研究科修士課程を修了し、九〇年に福井大工学部電子工学科助教授、九二年から教授となった。
大賞(物理分野)の業績「液体窒素冷却超電導モーターの研究開発」では、IHIなど産学グループの一員として、構想発案や電気・磁気回路設計などで先導的役割を果たした。従来のモーターに比べ、効率性向上や二酸化炭素の排出削減、低騒音化などを可能にし、船舶用モーターでの実用化が目前となっている。
今氏は、北海道生まれ。一九六四年に新潟大理学部を卒業後、福井県庁に入庁し、水産試験場長などを歴任。二〇〇〇年には越前がにミュージアム館長に就いた。
大賞(生物分野)の業績「ズワイガニの生活史に関する漁業生物学的研究」では、長年の研究でズワイガニの生息海域や成長期間などを明らかにした。乱獲で漁獲高が一時は最盛期の約一割に減少したが、研究結果を基にした資源管理が行われ、近年は漁獲量が回復。本県の魚種別漁獲金額では最も高くなった。
県科学学術大賞は、県内の篤志家から申し出のあった寄付金を原資に設けられた。県内で科学技術の開発や学術研究に携わり、本県の発展に貢献した人物を顕彰している。
今回の候補者募集は昨年六―七月に行われ、物理、化学、生物の各分野から七件の応募があった。前県立大学長の常脇恒一郎氏ら選考委員五人が審査した。大賞には賞金百万円が贈られる。
寿命を解明したい
今攸氏の話 長年の研究がどう評価されるかと思ったが、大賞と聞いてびっくりしている。生物学的なことだけでなく、漁業界に役立つ知識を得ようと研究し、それが資源の培養につながり、効果として表れたことが大きかったと思う。今後の研究では、ズワイガニの寿命を明らかにしたい。