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池野政義
トップページ > ニュース > 京都で発覚 「間人ガニ」産地偽装 越前がにでは「起こり得ぬ」 県内漁協 タグ管理と検査、厳格 ふくい農林水産スポット
今月4日、兵庫県産のズワイガニを京都府京丹後市産の高級ブランド「間人(たいざ)ガニ」と偽って販売した容疑で、同市の水産物販売会社役員らが逮捕された。カニに付ける未使用タグを不正入手し付けたとみられるが、産地偽装はブランドの信頼性を地に落としかねない。ブランドタグ発祥の地である福井県の「越前がに」は大丈夫なのか-。関係者に聞いた。
越前がにのタグ取り付けは、産地の差別化と偽装防止などを目的として1997年に越前町で始まり、全県へ広がった。2018年には全国のブランドガニの中で唯一、地域の農林水産物や食品のブランドを守る「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。
実は、このGI登録が偽装防止に大きく役立っているという。越前がには外部チェックを受ける厳重な管理が行われ、関係者は「県内での偽装は考えられない」と強調する。
産地管理を徹底するため漁業者の自主管理だけでなく、農林水産省によるチェックも受ける。監視の目が複数にわたることで、産地の信頼性を保っている。県内漁業者は「未使用タグの横流しは仕組み的に不可能」と口をそろえる。
越前町漁協では、41隻分のGIタグ管理簿や競りでの販売数を証明する「仕切書」など四つの書類を保管。タグは各漁業者が自宅や倉庫で保管しているが、管理簿には漁期前後のタグ数が明記されており、数が合わない場合は漁業者に再確認を求める。同漁協の南直樹参事は「作業中の破損や海に落として紛失した場合も報告する必要があり、不正使用があればすぐに見つかる」と話す。
記録類は5年間保管することとなっており、さらに農水省職員が2~3年に一度、検査員として現地で定期検査を行っている。北陸農政局担当者は「規定を守らない漁業者がいれば、GI登録を取り消す可能性もある」とする。9隻が所属する三国港機船底曳網漁協(坂井市)の平野一美組合長は「タグの仕入れ数と消費数の管理と検査は厳格で、間人ガニのような問題は福井ではあり得ない」という。
タグ自体も改良を重ね再利用できない構造となっている上、爪のある脚に取り付けるため、脚を折るかタグを切る以外でタグを外すことは不可能という。県漁連の中川浩一専務理事は「タグを付けることで他の産地との差別化を図ってきた。誇りを持って越前がにのブランドを高めてきており、悪用する関係者は県内にはいない」と断言した。
「間人ガニ」産地偽装問題 兵庫県産のズワイガニを京都府京丹後市産の高級ブランド「間人ガニ」と偽り販売したとして、京都府警は4月4日、不正競争防止法違反(誤認惹起=じゃっき=表示)などの疑いで、同市内の水産物販売会社役員ら2人を逮捕した。府警によると「約10年前からやっていた」と容疑を認めており、タグを不正入手したとみて捜査している。