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古事記「角鹿の蟹」はズワイ⁉ 福井県立大名誉教授・矢野さん エビ、カニの研究本を発刊

2022年01月13日

歴史

矢野勲・県立大名誉教授矢野さんの新著「エビはすごい カニもすごい」

 福井県立大海洋生物資源学部名誉教授の矢野勲さん(78)=兵庫県西宮市=が、長年にわたる研究成果をまとめた「エビはすごい カニもすごい」をこのほど発刊した。エビ、カニの生態や行動、体の仕組みのほか、古事記に記述がある「角鹿の蟹(かに)(=敦賀のカニ)」は若狭湾のズワイガニ(越前がに)であるとの見解を披露している。

 古事記の応神天皇の段には「この蟹や何処(いずく)の蟹百伝(ももづた)ふ角鹿の蟹-」という記述がある。矢野さんによると、ズワイガニは水深200~600メートルの海底に生息し、古代の漁法では捕ることが難しいとみられていたが、東南アジアに伝わる「トラップ網」という漁具を使えば可能になる。新書では糸やひも、石などを使うトラップ網の仕組みと漁法を詳述している。

 矢野さんは「干潟や河川で捕れるモクズガニやガザミであれば、わざわざ『角鹿の蟹』と記載するのは不自然」と指摘。若狭湾では岸から遠くない場所に漁場があることからも信ぴょう性が高いとしている。

 新著は「研究者人生の集大成」と矢野さん。テーマは幅広く▽エビ、カニをゆでると赤くなる仕組み▽なぜカニは横歩きするのか▽シャコ、ヤドカリとの違い-などを解説。ハサミを閉じることでプラズマを発生させ獲物を倒すエビ、毒のあるイソギンチャクを盾にして身を守るカニなど多彩な生態も紹介している。
 
 中央公論新社刊。288ページ。990円。
 

 


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