「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
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カニをテーマにした福井県越前町厨の博物館「越前がにミュージアム」は今年から、館内でふ化した越前ガニの幼生を稚ガニにまで成長させる試みに挑戦している。成功すれば研究機関以外では初という。一般にも公開しており、同館では「成長の様子を見られるのは全国でもここだけ。ぜひ観賞しに来て」と呼び掛け、来館者増に期待を寄せている。
同ミュージアムでは従来、水槽内でカニの卵がふ化しても、成長に適した水温に変更できないほか、幼生の餌となるプランクトンを培養する設備もなく、次の段階へ脱皮させることは不可能だった。
今回、約二百万円かけ飼育設備を整備。縦二メートル、横一メートル、高さ一・五メートルで、水温調整もできる水槽を新たに設置した。水槽内に二十四個のビーカーを置き、一つのビーカーに、二月中旬にふ化した幼生「ゾエア」四十個を入れた。
毎日、ビーカーの中の海水を替えながら、老廃物を除去し水質をきれいな状態に維持。餌は、ゾエアより小さなプランクトン「アルテミア」を、水槽横でふ化させ、与えている。ゾエアは約三カ月かけ、メガロッパ、稚ガニへと脱皮するため、うまくいけば五月には体長六、七ミリほどの稚ガニを見ることができる。
現在、幼生は約三ミリでかなり小さいが、水槽の横には虫眼鏡を用意してある。
稚ガニの飼育は小浜市の水産総合研究センター「小浜栽培漁業センター」が実績を残しているが、研究機関以外では初という。大間憲之館長は「水質の維持など難しい面もあるが何とか成功させたい」と話している。
同ミュージアムは二〇〇〇年七月に開館。初年度は十二万五千人が来館したが、年々減少傾向にあり、〇三年度は四万七百七十一人、〇四年度は二月末までで三万三千四百五十六人となっている。