トップページニュース2011年3月 > 「越前がに」捨てるところなし 甲羅の成分にも注目

「越前がに」捨てるところなし 甲羅の成分にも注目

2007年11月26日

 魚介類が栄養素としてバランスのよい食材であることを力説してきましたが、福井の住人として、「越前がに」をテーマにします。十一月六日から三月二十日のカニ漁獲の解禁時期となると、今年もカニを食べられる歓(よろこ)びが湧き出てきます。

 越前がには、雄がズワイガニ、雌がセイコガニと、いずれもおいしいです。料理方法は、塩ゆでガニ、カニスキ、焼きガニ、カニみそを生かした甲羅焼きなど、カニそのものの味を生かしたものが一番好きです。生ガニを刺し身にしておいしくいただくのも大好きです。

 栄養素としては、カニの身にはアミノ酸の一種、タウリンが豊富に含まれ、カリウムなどのミネラルも含まれています。カニの身を食べるとその甲羅はゴミになりますが、それに含まれるキチン(多糖類)とキトサンは、人の消化酵素で分解されない動物性の食物繊維で、脂肪の吸収を防ぐ働きがあり、血中コレステロールの上昇を防ぐことから注目されている成分です。また、甲羅の赤色の元となるアスタキサチンには動脈硬化やガン予防、老化を防ぎ、生活習慣病にも効果があると期待されます。カニはおいしく食べるだけでなく、たくさんの効能をもったすばらしい食材です。

 キトサンはグルコサミンがたくさん結合した天然のアミノ多糖体で、エビやカニの甲羅にあるキチンを脱アセチル化するとできます。セルロースとの分子構造の相違をみるためにそれぞれの化学構造式を示します。

 カニは水分の多い魚介類で、塩ゆで上げたカニの身を殻から取り外そうとしますと、カニ汁があふれ出ます。この汁にも栄養分が含まれているので、一滴も逃さないように食べることもポイントです。カニの身はタンパク質が豊富なのに低カロリーで、うまみの元になるアミノ酸、グルタミン酸、グリシン、アルギニンを含んでいるので、健康な身体を作るためには欠かせない食材です。

 カニの甲羅にあるみそは、カニの脳みそではなく中(ちゅう)腸(ちょう)腺(せん)であり、軟体動物や節足動物の中腸に開く腺様組織です。それは脊椎動物の肝臓と膵(すい)臓の機能をもった臓器で栄養素をたっぷり含んでいます。(吉村忠与志・福井高専物質工学科教授)


関連するニュース

全て見る

おすすめの宿

おすすめの宿一覧

割烹旅館 越前満月

割烹旅館 越前満月

広大な敷地にわずか9室をしつらえた木造平屋造りの宿。広々とした部屋、和の庭園、贅を尽くした露天風呂付客室がお迎えします。

光風湯圃 べにや

光風湯圃 べにや

3年の構想を経て再建された"老舗旅館"

おすすめの料理店

おすすめの料理店一覧

越前かに料理「鹿島」

越前かに料理「鹿島」

三国の海・空そして極上の越前かにフルコース料理!

開花亭

開花亭

国指定有形文化財に選ばれた歴史ある老舗料亭。ここでしか出会えない、職人技が光る贅の限りを尽くした越前がに料理を堪能できます。

らでん

らでん

越前がにを極めて30年以上。県内一のかに問屋が営む日本食レストランで、越前海岸と同じ最高の鮮度と味のカニを楽しめる。

越前がに職人

一覧

漁船と連携し品質を判断

田村幸次

詳しくはこちら

越前ガニのおすすめ料理

おすすめ料理一覧

越前カニ雑炊

越前カニ雑炊

4人分

寒い冬にぴったりの心も体も温まる越前がにの雑炊