「かにまつり」のPRに奔走
池野政義
トップページ > ニュース > 越前がに 待ってた 2日遅れ初競り 港 喜び、安堵
解禁から2日遅れで始まった越前がに漁。福井県越前町と坂井市三国町の漁港で行われた初競りは、競り人の威勢よい声が飛び交い熱気に満ちあふれた。北陸新幹線の県内開業後初のシーズン幕開けとなり、関係者からは喜びと安堵(あんど)の声が聞かれた。
越前町では11月8日正午過ぎから、町漁協所属の小型底引き網漁船が続々と漁港に戻り、陽光を浴びてきらきらと輝くカニを水揚げしていった。幹昌丸の山下弘嗣船長は「2日間漁に出られずもどかしかったが、やっとカニを届けられるという気持ちでいっぱい」と笑顔を見せた。
坂井市の三国漁港では天越丸の舩木秀二船長も初競りに間に合うように早めに漁を切り上げ帰港し「待っているお客さんがいるので少しでもカニを入れたかった」と話した。
同市内では予約客にすぐに提供する旅館が一部あるものの、ほとんどの飲食店や鮮魚店、スーパーなどは9日以降の提供となる。三国漁港へ友人2人と競りを見に東京都の男性は「シーズンを目がけて初めて福井に旅行に来たが、2日前に店からカニがないと連絡が来てドキドキした。(旅行中の)どこかで味わいたい」と待ち遠しそうだった。
一部の旅館や飲食店では、初出漁が遅れた影響もあった。
カニ料理を提供する越前町の温泉旅館「あらき」や飲食店「かに乃花」ではカニが用意できず、7日と8日の予約キャンセルを余儀なくされた。あらき店主の荒木敏生さんは「天気のことなので仕方ないが残念。またカニ料理を食べにきてもらいたい」と話した。
坂井市の田島魚問屋でも出漁延期を知らずに買いに来たり、経営する飲食店を訪れたりする県外客らがいた。山岸香重子社長は「多くの人が待っていた。ようやくという思い」とほっとした表情だった。 県水産試験場の調べでは、福井県沖の越前がにの推定資源量は雄のズワイガニと雌のセイコガニの合計が前年比25%増の5444トンと、過去10年で最も高い水準にある。さらに、福井県分のズワイの漁獲可能量は、前年当初と比べて約2割多い541トンに拡大され、今季もカニの安定供給が期待される。
越前町漁協の小林利幸組合長は「新幹線の開業で越前がにの注目度は確実に高まっている。天候に恵まれ、安定した漁ができれば」と話していた。