「かにまつり」のPRに奔走
池野政義
トップページ > ニュース > 塩ウニ 米輸出へ前進 天たつ(福井) 加工場の衛生 認定取得 原料海外調達網も充実狙う
海産物加工品製造販売の天たつ(本店福井市順化2丁目、天野準一社長)の塩ウニ加工場「雲丹(うに)蔵」(坂井市春江町針原)が、対米輸出の衛生基準に準拠した施設として認定を取得した。世界的に日本食への注目が集まる中、米国の人気料理店などへの輸出を狙う。同社の看板商品「汐(しお)うに」の世界的認知度を高め、国内で漁獲量が減り続けるウニの海外調達網も充実させる考えだ。
取得したのは、一般社団法人日本食品認定機構(東京)による「水産食品加工施設HACCP(ハサップ)認定制度認定工場」。米保健当局が要求する衛生管理手法に準拠しているとみなされ、輸出が可能となる。認定工場は全国で521カ所あり、県内では雲丹蔵が5カ所目。
天たつは年間約1トンのウニを仕入れ、塩ウニに加工している。昨年稼働を始めた雲丹蔵では、塩漬けにして自然に脱水していた手法を改め、乾燥室で乾かすなどして衛生面を向上させた。HACCP対応ではウニ殻の混入防止に重点を置いてチェックを重ね、今年3月に証明を取得した。輸出に必要な英文証明書も7月4日に発行された。
天野社長は「伝統食で国際基準の衛生管理は難しいと言われたが、何年もかけて一つ一つ課題をクリアした」と話す。「知る人ぞ知る味覚から、誰もが知る伝統食を目指す」という目標を立て、まずは都内に販売拠点を設置し、訪日客を輸出の足がかりにしたい考えだ。さらに今後、EUの衛生基準にも準拠させ、パリの高級レストラン向けの輸出も目指すとしている。
雲丹蔵での塩ウニ生産は、人手が確保できれば倍増できるという。一方、原料のバフンウニは国内では漁獲量が減少の一途をたどっている。養殖の研究も進んでいるが「食べられるウニとおいしいウニは別物。おいしい養殖ウニが調達できるのはかなり先の話」(天野社長)とみている。塩ウニ輸出で構築するネットワークを生かし、おいしい海外産ウニの輸入と塩ウニの生産能力の向上にも取り組む。天野社長は「海外での塩ウニ生産も考えていきたい」と話している。