越前がにならおまかせ
納谷一也
トップページ > ニュース > 越前がに漁獲額 最高更新 2月末22・1億円 終漁待たずに 県まとめ 供給安定、単価維持
今季の越前がに漁が好調に推移している。県の2月末時点のまとめによると、漁獲合計金額(卸値)は前年同期比9・3%増の22億1349万円で、漁期を3週間残して過去最高を更新した。天候に恵まれシーズンを通して供給が安定したほか、漁1回当たりの漁獲量規制などにより、漁獲単価はほぼ前年並みを維持している状況だ。
全体の漁獲量は、資源量が回復していることや天候に恵まれたことから前年同期比8・1%増の373・6トン。金額を漁獲量で割った1キロ当たり単価は1・1%増の5924円だった。
内訳を見ると、漁期が昨年12月末までだったセイコ(雌ズワイ)の漁獲量は前年同期比8・6%増の178・8トン、漁獲金額は同4・9%増の5億3614万円、単価は2999円で同3・5%減だった。セイコの漁獲量は、漁期が現在と同じになった2013年シーズン以来で最も多く、過去20年で見ても2006年シーズン(漁期1月10日まで)に次いで2番目に多かった。
一方、20日までが漁期の雄のズワイは、2月末時点で前年同期比28・0%増の178・1トンを漁獲。金額は12・9%増の16億4810万円、1キロ当たり単価は11・8%減の9254円。最上級ブランド「極(きわみ)」は前年同期に比べ4匹少ない35匹。
2月20日に解禁されたズボガニ(水ガニ)は悪天候の影響で出漁機会が減り、漁獲量は前年同期比60・1%減の16・8トン、金額は46・9%減の2925万円で、1キロ当たり単価は33・1%増の1746円となっている。
越前がに漁を巡っては昨シーズン、漁開始から10日で割当枠の約5割を漁獲し、序盤は安値で大量消費された。漁船1隻当たりの水揚げ量を制限した後は価格が高騰、販売につながらないという事態に陥った。このことを教訓に、県底曳網漁業協会は今季は当初から漁1回のセイコ漁獲量を減らし、雄やズボガニを含めた甲羅のサイズ規制などを実施した。
こうした取り組みの上、天候に恵まれて安定的な供給となったことから、卸値は値崩れしなかったとみられる。ただ、スーパーなどに並ぶ小売価格は「他県産の安値につられる形となったため、特にセイコは卸値以上にリーズナブルに見えたのではないか」(県水産課)と分析している。