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刀根瑛昌
トップページ > ニュース > 越前がに漁獲「底打った」 福井県水産試験場、2年連続増予測 雌の漁期短縮で回復
福井県水産試験場は7日、11月6日に漁解禁となる本年度の「越前がに」の漁獲量予測を発表した。昨年度より雄は5~15%増、雌は10~20%増を見込む。この約20年間、減少傾向が続いていたが昨年度、本年度と増え、さらに今後2年間も増加していく見込みであることから、同試験場は「(漁獲量減少は)当面の底を打った」としている。 漁獲量予測は今年5~7月、カニ漁場のうち、越前町や坂井市三国町沖合の一部区域をトロール網や水中カメラを使って調査、推測した。順調に成長した個体数が多いことから、本年度の漁獲量は雄が220~240トン、雌が165~180トンの計385~420トンと予測し、昨年度の358トンを上回るとした。さらに来年度と再来年度に漁獲可能なサイズのカニも多く、漁獲量は5%ずつ増加していく見込みとした。
越前がにの漁獲量は、記録が残る中では1964年度の1091トンが最も多く、70年代後半から80年代にかけ200トン台まで減少。2002年度には631トンまで回復したが再び減少、20年度には319トンまで減っていた。
漁獲量が増えている理由として、13年度に始めた雌の漁期を10日短縮する漁獲規制により、徐々に回復。漁獲可能となる8年以上が経過したことで、漁獲が増加し始めたとみている。
同試験場海洋研究部の河野展久部長は「稚ガニが多く生育する区域の情報を共有して漁を避け、将来的に漁獲量が増えるよう取り組んでいる。まずは500トンを目指していきたい」と話す。
漁獲量予測は、昨年までは解禁日直前に発表していたが、観光協会などから早期に発表してほしいとの要望があったことから、今年は具体的な数値を示し約1カ月早めて発表した。同試験場の吉村祐一場長は「近年高騰していた価格も今年は落ち着くのではないか。多くの人に食べてもらい、観光客の誘客にもつながれば」と話していた。