競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 漁、競り・市場 > 地域を発信 福井県越前町の漁師に密着 ユーチューバー・八田さん(福井市) 生きざま紹介、競り解説
福井市の男性が福井県越前町の越前漁港に足しげく通い、撮影した漁や競りの動画をユーチューブで発信している。漁師の生きざまや豊富な魚介類を紹介するだけでなく、定置網の仕掛け方などを分かりやすく解説。視聴者から「すごい迫力!」といったコメントが寄せられるなど、港町の盛り上げに一役買っている。
男性は八田将範さん(50)。ユーチューブチャンネル「福井いいとこやざぁ。」を開設している。
3年前に県内の食材や観光名所のPR動画の投稿を始めたが、昨春から「福井の海を活気づけたい」と漁港取材に専念。これまでに約50件を投稿した。
漁師の仕事にスポットを当て、出港から網の投入、引き揚げ、水揚げ、競り、網の補修などを字幕付きで解説。網の仕掛け方などを図解を交えて説明している。効果音を入れるなど独自の工夫も凝らし、昨夏投稿した大型定置網漁の動画は24万回再生を突破。チャンネル全体の再生数は200万回を超えた。
当初は、船長らに密着取材を頼んでも「危ないから」と断られ続けた。しかし、投稿を続けるうちに「見たよ」「うちの船に乗りなよ」と声を掛けてもらえるようになった。コメント欄には「海の男に感謝します」「いつもおいしい海産物をありがとう」など漁師への感謝の言葉も並び、八田さんは「食に対する感謝や漁師へのあこがれを感じてもらうのも配信の目的。少しずつ達成されている」と話す。
撮影しているのは、漁師たちには当たり前の日常だ。だが、漁経験のない八田さんの目には全てが新鮮に映る。分かりやすさに加え、心躍らせて取材している雰囲気が、視聴者の共感を呼んでいるようだ。
密着取材を受けた底引き網漁船「幹昌丸」の山下弘嗣さん(35)は「多くの人に越前町や漁師という職業に関心を持ってもらえれば」と期待。八田さんは「海沿いの旅館や料理店の仕事、釣り客に有益な情報も発信していきたい」とチャンネルのグレードアップに意欲を見せている。