競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 2022年6月 > 越前町沖に越前がに保護魚礁沈設 県13年ぶりに育成場造成へ
越前がにの漁獲量アップに向け、福井県は13年ぶりに「保護育成場」の造成を始めた。人工の漁礁ブロックを海底2キロ四方に約150個沈め、雌ガニの餌場、産卵場とする計画。エリア内は、底引き網の操業ができないため“禁漁区”となるが、雌ガニの増殖につなげることで資源回復を目指す。
保護育成場とは、コンクリートや鋼製の漁礁ブロックで囲われた領域を指す。水深250メートル付近に集団で生息する雌ガニ保護を目的に、本県沖では1985年~97年度に6カ所(計6539ヘクタール)設けられた。
今回は越前町沖29キロの水深280メートルで設置を進めている。漁礁ブロックは高さ3・5メートル。初の試みとして、魚の“住みか”となりやすいよう、カキの貝殻を装着したブロックを沈める。貝殻と貝殻のすき間に餌となるゴカイなどが住み着き、カニやカレイの生息数が高まるという。コンクリート製ブロック94基で囲う領域内に貝殻ブロック55基を配置する。
現在は越前町厨の越前漁港で貝殻ブロックの組み立てが完了。27日から台船で運び出し、9月末までに沈設を終える。県は「越前がに増殖場造成事業」として本年度工事費に9400万円を計上。2013年度までの4年間で4カ所(計1764ヘクタール)を造成する計画だ。
県内の越前がに漁獲量(雄雌合計)は80年代に年間300トン前後と落ち込んだが、カニ保護に向けて漁期短縮や底引き網の改良、育成場設置などに取り組み、00年以降は500~600トンほどで推移している。県は育成場設置によるセイコガニの資源量目標値を、09年度752トンから14年度900トンとした。
県水産課は「過去の設置は、近年の漁獲増に役立っていると考えている」とし、「ズワイガニは漁獲サイズに成長するまで10年以上かかる。長い目で計画を進めていきたい」と話している。