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刀根瑛昌
トップページ > ニュース > 2012年3月 > カニ殻材料にプラスチック作製 京大チームが成功
カニやエビの殻を使い、柔らかい透明のプラスチックを作製することに、京都大のチームが成功し、21日発表した。テレビなど次世代有機ELディスプレーなどに応用が期待できるとしている。
今回チームは、カニ殻のナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)の極細の繊維構造に着目した。まず薬剤で炭酸カルシウムとタンパク質を除去した粉末のカニ殻を水に混ぜ、ろ過して厚さ100~200マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の白い紙のようなシートを作った。このシートに透明アクリル樹脂を浸透させると、樹脂が補強され、白いシートが透明になった。
カニ殻の繊維は人工のナノ繊維よりも細く、太さが均一なためシートの透明度が上がるという。
有機ELディスプレーや太陽電池の基板に使うには、熱で膨張して透明性が失われないようにする必要などがある。シートを改良すれば、現在使用されているガラス程度に熱膨張を抑えることができるという。エビ殻でも同じ成果が得られた。
矢野浩之京大教授(生物材料学)は「カニ殻のような構造を人間の技術では作れない。生物資源を材料に取り込む必要がある」と話した。【共同】