「越前がには日本で一番おいしいカニ」
田村幸一郎
トップページ > ニュース > 2005年1月 > 稚ガニ50匹誕生、飼育に成功 研究機関以外で初、越前がにミュージアム
福井県越前町の「越前がにミュージアム」がズワイガニの幼生飼育に成功し、稚ガニ50匹が誕生した。稚ガニ飼育は水質維持など困難で、研究機関以外では初の成功という。ミュージアムでは「来年以降も続け、稚ガニを見学できる施設としてアピールしたい」と喜んでいる。
ミュージアムでは従来、館内でカニの卵がふ化しても、飼育設備が備わっていないことから、それ以上成長させることができなかった。今年新たに飼育水槽を設置、稚ガニにまで成長させる幼生飼育に挑戦していた。
水槽内に五○○CCビーカーを二十四個設置。二月半ばにふ化した、幼生の第一段階「ゾエア」を各ビーカーに四十匹、計九百六十匹投入した。三月中旬に六十匹が、次の段階の幼生「メガロッパ」に脱皮し、四月十日から二十日にかけて五十匹の稚ガニが育ち、現在、四十匹が生き残っている。
稚ガニの飼育では細菌感染を防ぐため清潔な環境の維持が重要。同ミュージアムではゾエアの段階で多数死滅したが、その後、水を入れ替え清浄化に努めた。また共食いを防ぐため、メガロッパに脱皮した後はビーカー内の飼育数を四匹に減らした。現在、稚ガニは甲羅幅が三、四ミリにまで成長。成長の様子は公開している。
ズワイガニの稚ガニ飼育では、小浜市の小浜栽培漁業センターが大量飼育に成功しているが、研究機関以外の観光施設などでは同ミュージアムが初という。大間憲之館長は「めったに見ることができない稚ガニを大勢の人に見てもらいたい。来年以降の飼育では死滅率を減らしたい」と話している。