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刀根瑛昌
トップページ > ニュース > 1997年2月 > かには魚か?さかな、魚、肴 BAYわかさ、今攸
福井県は越前・若狭の旬のさかなとして、四季を感じさせ、生産量が多く、おいしいと評判で、県民に親しまれている十七種を選びました。
それらは春のさより、やりいか、ほたるいか、わかめ、夏のあじ、若狭ぐじ、たちうお、あゆ、越前うに、秋のさば、若狭がれい、越前がれい、あおりいか、冬の越前がに、若狭ふぐ、甘えび、若狭のかきです。
これらの種を説明していると、わかめや、うにがなぜ「さかな」なのかと頻繁に聞かれます。多くの場合は「魚屋で売っているから」と答えていますが、実は「旬のさかな」は「旬の魚」ではないところに解答があるのです。
広辞苑によると、さかなは肴(さかな)、魚と書き、酒菜、つまり酒を飲むときに添えてある食べ物を指します。
従って、水中生活をする脊椎(せきつい)動物のあの魚(うお)のみを指してはいけないのです。
では、なぜ、「旬のさかな」に枝豆が入っていないのか聞かれる方もおられましょうが、そこは「旬の肴」とは書かないで、「旬のさかな」と書くところから感じ取ってほしいのです。
学問の世界ではわかめも、うにも水産生物ですが、「旬の水産生物」ではせっかくのおいしい肴も、味気なくなります。
福井県は県の魚として越前がにを指定していますが、これもまた「かには魚か」とよく聞かれます。
これらはいずれも、学問の世界でのことではなく、風流な心を持った言葉の”あや”とご理解ください。
こん・とおし 北海道生まれ。県水産試験場長。県水産課参事を経て平成2年から同場長。敦賀市平和町。58歳。