「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 開高健 > 開高健の未発表小説発見 越前がに愛した作家
作家の開高健(1930~89年)が50年代に書いたとみられる未発表小説の一部が見つかったことが、5日分かった。見つかったのは400字詰め原稿用紙57枚で、「食卓と寝台」というタイトルの作品の「第二章」。開高健記念会によると、友人との貧しい共同生活を描いた自伝的作品だという。
記念会の前会長で、文芸誌「新潮」元編集長の坂本忠雄さん(76)は「筆跡などから自筆原稿とみて間違いない。『食卓と寝台』は編集者の目から見ると習作だが、これをもとに芥川賞受賞後第1作の『なまけもの』を書いたのだろう」と話している。
昨年1月、記念会が東京・神田の古書店から連絡を受けて開高の原稿と確認、購入した。「食卓と寝台」については、開高が53年に友人に宛てた手紙の中で、執筆を開始したことを記している。
原稿は「文学界」2月号に掲載されるほか、開高健記念館(神奈川県茅ケ崎市)では実物を展示している。
開高は祖父母と実父が坂井市出身。越前がに好きは有名で、何度も作品で称賛している。58年に「裸の王様」で芥川賞を受賞。「パニック」「日本三文オペラ」のほか、「オーパ!」などの紀行文やエッセーでも知られている。