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福井の「黄金ガニ」好評 ベニズワイとズワイの“ハーフ” ブランド化へ独自タグ

2019年07月11日

漁、競り・市場

  ズワイガニとベニズワイガニの交配で生まれる希少種の「黄金ガニ」。ズワイの身入りの良さとベニズワイの甘みを兼ね備えた“いいとこ取り”のカニとして脚光を浴び始めている。県内で唯一、ベニズワイガニ漁を行う越前町の漁師はブランド化を目指し独自のタグを作製。福井の食材を扱う都市圏の和食店で人気を集めている。

 同町でベニズワイのかご漁を行う大喜丸の山下富士夫船長(38)によると、黄金ガニは数千匹に1匹の割合で水揚げされる“幻のカニ”。赤みがかったベニズワイと違って、体の色は黄色に近い。「金」のように重宝がられるという意味で黄金ガニの名が付いた。ベニズワイ特有の身の甘さがあり、ズワイのように身は引き締まり、みそはさっぱりして食べやすいという。

 近年、日本海側の各地域で水揚げされる黄金ガニがテレビ番組などで紹介され、人気が高まっていることを受け、山下船長は3年前からオレンジ色の「大喜丸」のタグ、昨年からはカニの爪に似せた形で「黄金」と刻まれた越前焼製のタグを付けて売り出している。山下船長は「脱皮を終えしっかりと成長し、甲殻が固いものだけを極力、水揚げするようにしており品質には自信がある」と話す。

 黄金ガニは比較的安価なのも消費者にとって魅力だ。漁港での競り値は、ズワイが1万円~3万円程度なのに対して、黄金ガニは5千円~1万円程度。また、黄金ガニの漁期はベニズワイ同様に9月から翌年6月までで、ほぼ年間を通して味わえる。県内では坂井市三国町の温泉旅館や福井市内の和食店などで提供している。

 水産物卸の「かねいち水産」(越前町米ノ)によると、ここ数年、都市圏を中心に黄金ガニの需要は高まっており、中橋靖人専務は「まだ知名度は低いが、質の良い福井の黄金ガニは今後人気が出てくるだろう」と見通す。

 飲食店を展開するソーホーズインターナショナル(本社福井市高木中央2丁目)が企画や運営に携わり、福井の地魚や地酒を扱う東京・銀座の和食店「越前若狭 鯖街道」や大阪・北新地の「北陸越前 はれや別邸」では、冬場の越前がにと並ぶ“売り”として黄金ガニに着目。刺し身などのフルコース(2万円)が外国人客らを中心に人気で「仕入れてもすぐに予約が入って完売する状況」(細川正人会長)という。

 細川会長は「全国でもトップブランドの越前がにが水揚げされる福井の黄金ガニはうま味が違う。福井の新たな名物として売り出していきたい」と話している。


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