トップページニュース2006年10月 > セイコガニ8杯丸ごと「開高丼」 旅館こばせ(福井県越前町) 

セイコガニ8杯丸ごと「開高丼」 旅館こばせ(福井県越前町) 

2011年12月16日

宿

セイコガニ8杯が盛られた開高丼と長谷さん=福井県越前町梅浦のこばせ 熱々のコシヒカリ2合の上に、セイコガニ8杯の内子、外子、足の身を載せる。直径約25センチの丼鉢は山盛りだ。作家の開高健はこれをぺろりと平らげたという。

 ベトナム戦争取材後の1965年12月、開高は雑誌編集者の紹介で、旅館「こばせ」を訪れた。同旅館の長谷政志さん(79)は「カニが食べたい。注文はそれだけだった」と振り返る。座布団ほどの大きな九谷焼の皿に、ゆでたズワイ3杯、セイコ7杯を並べた。開高は日本酒片手に完食した。大食漢だった。

 翌日の夜は焼きガニ、カニ刺しなどのフルコース。次は何にしようか、はたと困った長谷さんは、ご飯の上にセイコの身を載せた丼を出してみた。味付けはカニのだし汁を混ぜたしょうゆのみ。開高はにこにこしながら、幸せそうに平らげた。このときの様子を開高は「決定的で完璧な瞬間。しかもその瞬間が、ああ、切れめなしに、いつまでもつづくのである」と書いている。89年に亡くなるまで、訪れるたびにこの丼を食した。

 開高は長谷さんに、米兵がベトナムの子どもを銃殺した出来事を、悲しみにゆがんだ表情で漏らした。海岸べりのスイセン畑に立ち、光が差し込む海に向かって「おー日本、ここにあり」と、万歳をしながら大声で叫んだこともあったという。多くの死を目にしながら、戦時下のベトナムを生き抜いた開高にとって、漁師町旅館の素朴な料理は、平和と安らぎの象徴だったのかもしれない。

× × ×

 開高丼(2~4人前)は1万1000円。ハーフサイズは6600円で、要予約。ランチタイムは午前11時半~午後2時(チェックアウト)。ランチは12月29日~1月3日まで休み。開高丼の期間は1月中旬まで。越前町梅浦58―8。電話0778(37)0018。


関連するニュース

全て見る

おすすめの宿

おすすめの宿一覧

割烹旅館 越前満月

割烹旅館 越前満月

広大な敷地にわずか9室をしつらえた木造平屋造りの宿。広々とした部屋、和の庭園、贅を尽くした露天風呂付客室がお迎えします。

光風湯圃 べにや

光風湯圃 べにや

3年の構想を経て再建された"老舗旅館"

おすすめの料理店

おすすめの料理店一覧

長者町 いわし屋

長者町 いわし屋

至高のゆで蟹の秘密は絶妙のゆで時間

越前かに料理「鹿島」

越前かに料理「鹿島」

三国の海・空そして極上の越前かにフルコース料理!

三国港越前がに料理専門店 みくに隠居処

三国港越前がに料理専門店 みくに隠居処

美食都市アワード受賞の坂井市で「三国港越前がに料理」を提供!R5.11リニューアルOPEN

越前がに職人

一覧

10日先の天気を見て仕入れ

中瀬康雄

詳しくはこちら

越前ガニのおすすめ料理

おすすめ料理一覧

カニのあんかけチャーハン

カニのあんかけチャーハン

2人分

カニチャーハンにとろ~り、あんをかけてプロ風の仕上がりに。