「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 2005年6月 > アジア誘客第1弾来県、震災受け県が事業 越前がになど海の幸満喫
東日本大震災の影響で減少した外国人観光客を呼び戻そうと福井県が進めるアジアからの誘客事業の第1弾として、香港のグルメツアーが県内を訪れている。40~60代の富裕層22人が28日まで滞在し、越前がに、甘エビなど海の幸をはじめ福井の食を満喫。ツアーを企画した香港の美食評論家でふくいブランド大使の蔡瀾(ちゃいらん)さんも同行し「新鮮な魚介類はツアー客に人気」と話した。
国の統計によると、県内での外国人観光客の宿泊者数は大震災以降、大幅な前年割れが続いている。昨年4月は前年比85・9%減で、5月以降も30~50%台のマイナス。8月は6・8%減と下げ止まり感が見えたが、9月は49・1%減と再び大きく落ち込んだ。県観光振興課は「原発事故による風評被害に加え、7月中旬以降の急激な円高の影響が大きい」と分析する。
対策として県は昨年12月、香港のグルメ番組撮影のため来県した蔡瀾さんに働き掛け、同ツアーが実現した。香港の美食ブームの立役者とされ、香港の富裕層向けグルメツアーを企画する旅行会社の社長も務める蔡さんは「香港で福井ブームが来ると思う」とリップサービス。「桜が美しいとも聞いているので、1年を通してツアーを組むことができる」と今後の展開に期待を寄せている。
春節(旧正月)休暇に合わせたグルメツアーには第1、2陣の計55人が参加。第2陣のツアー客は26日、美浜町内で海の幸を味わった後、夕方には芦原温泉の旅館に到着した。芦原温泉には2泊し、27日は東尋坊を観光し、昼食にぼたん鍋、夕食には越前がにを楽しむ。
県は今後、中部、北陸9県の観光ルートを「昇竜道」として中国、台湾などに売り出す国土交通省中部運輸局のプロジェクトも活用する計画で、「富裕層を対象に、伝統工芸など食以外の観光資源も売り込んでいきたい」と話している。