「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 1999年10月 > 越前町の”カニ復興”アピール、重油事故 漁協が神戸でキャンペーンへ
重油回収に出ていて亡くなった漁師の追悼と、落ち込みを見せている越前ガニの需要回復のため、福井県越前町漁協が県外でのカニ無料配布キャンペーンを計画している。二十七日は、キャンペーン用のカニを捕るため底引き網漁船など七十隻あまりが出港した。二十九日には組合員自らが神戸に出向き、JR三ノ宮駅構内でPRをすることが決まっているほか、名古屋方面での開催準備も進めている。
同町漁協では、タンカー重油汚染事故による海上での重油回収のため、なぎの日でも漁に出られない日が続いていた。十六日の試験操業後、規模を縮小して漁を行っていたが、二十日のセリではカニが例年の半値以下しか付かず、需要の落ち込みが深刻な事態になっていた。
また、二十一日には重油回収に出ていた組合員の北瀬一宝さん(69)が亡くなり、組合員にとって悲しい出来事が続いていた。
北瀬さんの通夜で集まった組合員から「このままカニや魚の需要が落ち込んでいっては、漁にも出られずに亡くなった北瀬さんに申し訳ない。漁業者から越前町を盛り上げていこう」という話になり、追悼とカニ復興を合わせてキャンペーンを行うことにした。
キャンペーンの場所は、阪神大震災から復興の道を進んでいる神戸に倣おうと、JR三ノ宮駅構内で二十九日午後二―四時に行うことが決まった。このほかJR神戸駅か、越前海岸を訪れる観光客が多い名古屋でも開けるよう、現在準備を進めている。カニやエビ、カレイを持っていく予定。
北瀬さんの長男、登さん(45)=漁業=は「カニなど漁業の落ち込みは父も心配していたと思う。越前町の今の暗いムードを終わらせるためにも、われわれ漁業者からカニや魚をアピールしていきたい」と話している。