福井県越前町ふるさと納税好調　冷凍海産物開発が奏功　昨年度10億円超、本年度も

　福井県越前町のふるさと納税が好調だ。寄付額は年々増加し、昨年度には10億円を突破、本年度も大台に達する見通しだ。カニなど同町が誇る海の幸が返礼品として人気で、消費者が年間を通して楽しめる冷凍品を事業者とともに開発したことも奏功している。

　■順調に推移

　同町のふるさと納税は2008年度にスタートした。全国的なふるさと納税への注目の高まりとともに寄付額は大きく伸び、20年度に１億5883万円を記録。その後も順調に推移し、23年度は前年度比22.5％増の10億7767万円に達し過去最高額を更新した。

　県によると、昨年度の県内17市町のふるさと納税寄付額は敦賀市が79億8553万円でトップ。坂井市、鯖江市、越前市と続き、越前町は５位となっている。

　■一年中選べる

　町は業務委託先とともに年に１度、返礼品事業者を対象としたふるさと納税の説明会を開き、事業者の掘り起こしに注力。昨年度は66社が登録し、20年度の２倍以上に増えた。

　それに伴って昨年度の返礼品数は過去最多の877品目にまで拡大した。ポータルサイトの拡充にも取り組み、５サイトだった20年度から10サイトに増やした。

　返礼品は約200品がカニ関連と、魚介・海産物が占める割合が高い。さらに20年ごろからは冷凍品を続々と開発し、越前がにや雌のセイコガニなど漁期が限られる魚介・海産物を一年中、選ぶことができる。

　昨年、４万8608件の寄付のうち、返礼品は冷凍したセイコガニの「甲羅盛り４点セット」が3296件と最も多かった。

　■町のファン獲得を

　町の担当者は「人気の高い海の幸で年間を通して寄付できるよう選択肢の幅を広げたことが奏功したのでは」と、冷凍品の人気が寄付額を押し上げる要因になったとみる。本年度の寄付額も10億円に達する見通しで「事業者とともに、できることを最大限やってきたことが実を結んだと考えている」と話す。

　関東や関西からの寄付も多く、今後も引き続きふるさと納税のプロモーションに積極的に取り組み、“越前町ファン”を増やしたい考えだ。返礼品の注文が今後さらに増えることで事業者の負担も増すことが予想され、町は事業者への支援も検討したいとしている。