「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 2013年5月 > 越前がにのカニ殻肥料に土壌作り 三国かに殻野菜生産組合、坂井
おいしい作物は元気な土壌から―。土壌改良効果があるとされるカニ殻を使った土作りに向け、越前がにシーズンを迎えた福井県坂井市三国町で、農家が宿泊施設や飲食店から出るカニ殻を回収、乾燥して粉砕、肥料にする作業に当たっている。(川塚康弘)
カニ殻肥料には、豊富に含まれるキトサンやキチンが土壌の有用微生物の餌になり、土壌の活性や作物の病害虫予防に効果があるとされる。またアスタキサンチンという成分は、花や葉の色艶を増す効果があるという。
同市三国町では3年前から、町内の飲食店などから出るカニ殻を農家が回収し肥料を作る取り組みが始まり、現在「三国かに殻野菜生産組合」の8農家が「越前みくに地産地食推進の会」加盟の13店から集めている。昨シーズンは計約6トンの肥料ができた。
栽培した野菜には、カニの絵のついたシールを張って販売し、人気となっているほか、今年はコシヒカリ栽培にも本格的に使われ、3軒の農家が約2・4ヘクタールを栽培した。
肥料作りは越前がにシーズンを迎え本格化。同市三国町池上の齊藤惠治さん(58)は週3回、4軒の店を回り集めている。週末分は特に多く、計410リットルが回収される。
回収したカニ殻は、ビニールハウス内に広げ10日ほど乾燥、木材用の粉砕機で細かくしていく。齊藤さんは米のほかスイカやメロン、トマトなどを栽培しており「もともと有機肥料を使ってきたがカニ殻を使うことで一段といい土作りができる。土が良ければおいしいものが作れる」と話す。来春、作付け前に水田や畑にそのまままいて使うという。