トップページニュース2013年1月 > カニはなぜ冬の味覚か BAYわかさ、今攸

カニはなぜ冬の味覚か BAYわかさ、今攸

1996年01月31日

歴史

 越前ガニは「冬の味覚」の代表として全国に紹介されます。しかし、カニは一年中、福井県の沖に生息しています。また、夏のカニは冬に劣らずおいしいのです。いや、むしろ水ガニのいない夏はすべてが硬ガニですから、冬よりもおいしいとさえ言えます。それにもかかわらず、なぜ冬にしか漁獲しない、冬の味覚となっているのでしょうか。

 越前ガニ漁業の発祥地は福井県の越前地方と考えられ、三百年ほど前の江戸時代に書かれた福井領の産物帳には「取得かたき時節も御座候」との注意書きを加えて、「ずわいがに」として登場しています。

 当時も今と同じく、遠い、深い海に生息していたはずですから、風と人力が頼りの帆かけ船では、漁場までの往復に大変な時間を要したことでしょう。荒れる冬の海での操業よりも、穏やかな夏の海での操業が好まれたことは容易に想像されます。

 しかし、当時は夏に氷を得ることはできませんから、漁獲物の鮮度はすぐに落ち、特に傷みの早いカニは真っ黒になってしまったことでしょう。そこで、夏の操業はやむなく断念したと考えられます。

 冷凍設備が充分に整った今でも、底引き網の漁期は九月から五月までで、夏の三カ月間は操業禁止になっているのは、このような歴史を受け継いだ結果だと考えられます。中でもカニは食中毒を恐れて、漁期を真冬に限ったのでしょう。

 つまり、歴史的な背景が越前ガニを冬の味覚として育ててきたと考えられます。

 今では、冷凍ガニは無論、生きたカニでも外国産なら真夏に食べることができます。でもおいしい物は季節感とともに、それもお正月に、が一番です。ですから越前ガニはいつまでも「冬の味覚」であり続けてほしいのです。

 今攸(こん・とおし) 県水産試験場長。北海道生まれ。県水産課参事を経て平成2年から同場長。敦賀市平和町。55歳。


おすすめの宿

おすすめの宿一覧

割烹旅館 越前満月

割烹旅館 越前満月

広大な敷地にわずか9室をしつらえた木造平屋造りの宿。広々とした部屋、和の庭園、贅を尽くした露天風呂付客室がお迎えします。

光風湯圃 べにや

光風湯圃 べにや

3年の構想を経て再建された"老舗旅館"

おすすめの料理店

おすすめの料理店一覧

開花亭

開花亭

国指定有形文化財に選ばれた歴史ある老舗料亭。ここでしか出会えない、職人技が光る贅の限りを尽くした越前がに料理を堪能できます。

旬味 泰平

旬味 泰平

四季折々の旬の味覚を楽しめる店。越前がにを引き立て、より美味しく味わうための“合間の一品料理”にもこだわるおもてなし。

越前かに料理「鹿島」

越前かに料理「鹿島」

三国の海・空そして極上の越前かにフルコース料理!

越前がに職人

一覧

漁船と連携し品質を判断

田村幸次

詳しくはこちら

越前ガニのおすすめ料理

おすすめ料理一覧

ズワイガニの甲羅盛り

ズワイガニの甲羅盛り

1人分

太い足の身をたっぷりと甲羅に乗せた迫力の一品 【動画あり】