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田村幸次
トップページ > ニュース > 2011年2月 > 越前がにめぐる人々の挑戦を発表 福井で「希望学プロジェクト」の中間報告
希望と社会の相互関係を考察する「希望学プロジェクト」を進めている東京大と福井県は23日、県内で2009年度から行ってきた調査、研究の第1回中間報告を福井市の県国際交流会館で行った。
地域資源や繊維産業など5調査班が、越前がにをめぐる人々の挑戦や企業経営者の夢、希望が従業員とどう共有されているかなどを発表。同窓会に対する意識調査を通して浮かび上がった福井の特徴など、多様な角度から希望について考えた。
「希望学」は05年度、東京大社会科学研究所が研究を始めた新しい学問分野。06年度から岩手県釜石市で地域調査を行った。第2の調査地とした本県では、県民がどのような希望を抱いているかを12年度まで、同大を中心にした経済学や政治学、歴史学などの研究者約40人が多角的に調べる。
「ふくいの希望を考えるフォーラム」と題した中間報告会には県民約150人が参加。基調講演で同研究所の玄田有史教授は「希望と幸福は違う。希望は変わっていくために必要なもの」と希望学の意義を語った。
東洋大社会学部の西野淑美講師は、福井市内の5県立高校の同窓生約1700人を対象に行った意識調査の結果を分析。Uターンは30代前半までに起こるため、行政として福井へのUターンを働きかけるなら家族形成前の年代にすべきだとした。移動のきっかけが進学に一元化される傾向もあり「多様な将来展望を持ちにくい可能性がある」との指摘もあった。
同調査に関しては玄田教授も講演で触れ「79%の人が希望を持っており、それを支えているのは教育力」と説明。福井の特徴としては「健康」「家族」が希望の源になっており、年齢層に偏りが少なく行動力のある高齢者が多い点も福井の魅力だと語った。
「メガネとイノベーション」と題した報告では、技術革新はこれまで産地内に浸透していたが、グローバル化の進展で産業を集積した産地のメリットがなくなったと指摘。「イノベーションの変質」を踏まえ、個々の企業が独自に仕掛ける必要があると提起した。
12月には2回目の中間報告を行い、12年度に研究成果を取りまとめる。