「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 1996年10月 > 越前がにの初競り、漁港に活気 カニ漁解禁
福井の冬の味覚の王者、越前がに漁が6日、解禁された。福井県越前町の小樟漁港では、初競りは当初午後5時の予定だったが、天候が悪く、小型船全隻の帰港を待つため午後6時からに変更してスタート。競り人の威勢のいい声が飛び交い、港は活気に包まれた。
午後2時、小樟漁港と、隣接する大樟漁港ではカニ漁を終えた船から次々とトロ箱が降ろされていく。解禁日は多くの船が雌のセイコガニを中心に漁を行うため、セイコガニのトロ箱がずらりと岸壁に並ぶ。降ろされたカニは大きさなどで選別。船主や船員、その家族らがもくもくと黄色のタグを付けていく。セイコガニはそのままトロ箱に、雄のズワイガニは水槽に入れられて初競りを待つ。
辺りが暗くなるにつれ、カニの季節を待ちわびた仲買人や漁業関係者らが続々と集まり、漁船ごとに並べられたカニを前もって品定めする。セイコガニはトロ箱で積み上げられる一方、ズワイガニは地面に仰向けに置かれ、鮮度を保つため海水が頻繁にかけられる。
カンカンカン-。初競りの開始を告げる鐘が鳴り響いた。「カニが2杯、カニが2杯、カニが2杯」「カニが7杯、カニが7杯、カニが7杯」。競り人が声を張り上げる。仲買人たちは指で希望の金額を提示。「イチゴー、イチロク、イチナナ、イチナナはマタイチ」。あっという間に値が決まり、次のカニへ。同じ仲買人が続けて競り落とすのも珍しくなく、次々とお目当てのカニを競り落としていった。
越前町からは小型46隻、大型6隻の合わせて52隻が出漁。小型全隻が日帰りし、うち43隻が初競りに参加した。同町漁協によると、ズワイガニが昨年より1割安、セイコガニは2割安となった。水揚げ量はズワイガニが3800匹、セイコガニは11万6300匹で、一隻当たり平均はいずれも昨年並みだった。
越前ガニ漁はセイコガニが来年1月10日まで、ズワイガニは3月20日まで続く。