競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 新幹線開業後初の越前がにシーズン 関東圏からの予約増 福井県越前町の旅館、飲食店 町全体へ波及効果狙う
北陸新幹線の県内開業後初の越前がにシーズンを迎え、福井県越前町の越前海岸沿いの旅館などでは関東圏からの予約が増えている。町観光連盟は、レンタカー客を対象にしたキャンペーンに力を入れ、町全体への開業効果の波及を狙う。
「昨年と比べてもカニシーズンの宿泊予約は順調」と話すのは、同町厨(くりや)の「料理宿やまざき」の山﨑嘉朋社長。予約は毎年9月ごろに受け入れ始め、例年は中京、関西圏からが中心だった。ただ、今年は常連客に加え、東京や茨城、神奈川などからの予約が次々と入ってきたという。
山﨑社長によると、現時点で11月はほぼ満室で、12月も埋まりつつある。新幹線開業に合わせた客室のリニューアルや自社ホームページでの積極的なPRも奏功し「この調子なら閑散期の1~3月の予約も期待できそう」と声を弾ませた。
同町梅浦で越前がに料理を提供する飲食店「かに乃花」では近年、関東圏からの来客が増加傾向という。今年は地域を問わず料理の事前予約も入り始めており、マネジャーの林知絵さんは「(漁の解禁後に)関東圏から新幹線で来てくれるお客さんがどれくらい増えるか期待したい」と話す。
ただ、町内の別の事業者からは「カニシーズンを迎えても、新幹線開業の恩恵を受けられる所は限定的だろう」との声も聞かれる。町には鉄道や高速道路はなく、路線バスの撤退も相次ぎ、2次交通が課題だ。
そこで町観光連盟が力を入れるのが、レンタカー利用の観光客を対象としたキャンペーン。宿泊や食事など町内で消費した金額に応じてキャッシュバックする独自の施策で、本年度は、消費額が5千円以上で2千円、1万円以上で4千円を還元する過去最大の取り組みを展開している。
連盟によると、本年度の利用は9月末時点ですでに361件に達し、1年間で514件だった昨年度を上回るペースで増え続けている。
本年度は関東圏からの観光客の利用が増えており、新たな層が町内全域に足を運ぶきっかけにつなげている。担当者は「カニシーズンはより多くの観光客に越前町のことを知ってもらう絶好の機会。キャンペーンの周知をより一層進めたい」としている。